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いかにして「神」は死に、「人間至上主義」が生まれたか 大著「ホモ・デウス」より

「ホモ・デウス」を読み終わりました。

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

生命は只のアルゴリズムであり、コンピューターがあなたのすべてを把握する。

生物工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊していく。

参照元:「ホモ・デウス」

 

著名な歴史学者であるハラリが、その膨大な知識量と深遠な考察によって、近い未来テクノロジーが人類にどう影響するかを予想した書です。

 

非常に挑戦的で、多くの人を敵に回してもおかしくない内容ではありますが、「何が本当で何が虚構か」を見分ける素晴らしい視点をこの本は僕らに与えてくれるのです。

 

そんな「ホモ・デウス」の中で、宗教について語った考えがあり、これが非常に興味深かったので、このブログでシェアしてみることにしました。

 

僕らの価値観と真っ向から対立する視点であり、僕らの意思の存在をも否定するものかもしれませんが、ここから学べる事は実に多いと思うのです。

 

以下でお送りします。

 まず初めに

「僕ら」はなぜ生き残ったのか?

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 著者であるハラリは、前著「サピエンス全史」の中で、「私たち(つまりホモ・サピエンス)だけが、なぜ生き残ったのか?」という疑問に対して、「私たちだけが虚構の力を手にしたから」 というシンプルな答えを提示しています。

 

大昔は東アフリカの片隅で、ライオンなどの捕食者に脅えながら暮らしていた存在だった「ホモ・サピエンス」

 

そんなサピエンスは、約7万年前のある日「虚構の力」を手に入れ、繁栄の道をたどることになります。

「虚構」

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 約7万年前、サピエンスに認知革命が起こります。

 

「取るに足らない」生命だったサピエンスは、新しい思考方法を手に入れ、より複雑なコミュニケーション方法を発達させていきます。

 

そのコミュニケーションの核となった力が「虚構」で、サピエンスは架空の物事を想像し、それを仲間と共有することができるようになったのです

 

サピエンスは噂や神話を通して、「虚構」を共有できるので、他の動物に比べて遥かに膨大な人数で協力できるようになりました

 

同じ時代に存在していた人類である「ネアンデルタール人」などは決して、私たちに比べて頭の回転が遅かったわけではありません。

 

しかし、サピエンスが100人、いやそれ以上の数で連携できたのに対して、ネアンデルタール人はそれができませんでした

 

そのため、時が経ちサピエンスが力をつけるにつれて、ネアンデルタール人はサピエンスとの生存競争に追いつけず、絶滅してしまったのだと考えられます。

 地球の頂点に立った生物

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「虚構」を創り出し、共有する力を持ったサピエンスは、神話や伝説、そして国家という架空の概念を生み出す事で、全く見知らぬ人とも協力できるシステムを確立していきます。

 

そのシステムは時代を経るにつれて複雑になり、1万年前の農業革命による定住化をきっかけに、「帝国・宗教・貨幣」の概念とシステムが発達します。

 

帝国は周りの国を飲み込んで大きくなり、宗教は人々をより緊密に連携させ、貨幣(お金)は「最も普遍的で、最も効率的なシステム」であるがゆえに敵対者さえも取り入れる制度となりました。

 

この3つの虚構の概念が相互に作用することで、サピエンスはより大規模に協力し合うことができるようになり、強大な力を手に入れていきます

 

その結果、サピエンスは地球上の食物連鎖の頂点に立ち、(良かれ悪しかれ)栄華を迎えることになるのです。

 科学革命

 「無知」の自覚

 私は自分が何も知らないことを知っている。

―ソクラテス

 

 農業革命により、(集団としては)さらなる繁栄を果たしたサピエンス。

 

「虚構」の概念は人々を包み込み、彼らの価値基準のほとんどすべては宗教によって生み出されたものとなります。

 

例えば、キリスト教の信仰者は、自分の人生を生きるうえで必要なことはすべて聖書に書いてあると考えていました。

 

逆に聖書に書いていないことは、知る必要がないことであるとも。

 

 しかし、徐々に文明が発達していく過程で、ある変化が起こっていきます。

 

コロンブスやマゼランの大航海時代からも分かるように、宗教から生まれた想像上の世界から抜け出して、好奇心と野心を持って危険を冒した人間が現れたのです。

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(時はまさに、大海賊時代!!)

 

彼らの一部は大発見をして、後の人類にとって重要な成果を挙げます。

 

このような実績が積み重なった結果でしょうか。

一部の人は、人類の「無知」を自覚していきます。

 

聖書を完全に否定したわけではありませんでしたが、そこに書いてあることがすべてではなく、自らの「無知」を自覚し、好奇心と探究心を持って物事に取り組む態度こそが重要であると気づき始めたのです。

科学革命⇒産業革命

この態度に基づき、約500年前から「データから数学的アプローチを用いて法則を見出す方法」が徐々に一般化され、科学革命が起きました。

 

ニュートンが古典力学の基礎を形作ったり、ガウスやオイラーが天才的発想で次々と数学的発見をしたり、アインシュタインが相対性理論を考えだしたり...。

 

類い稀な発想を持った人間たちが結集したことにより、科学は飛躍的に発展していき、その恩恵を人類全体が預かることになります。

 

そうして起こったのが産業革命という事になりますね。

www.runagon.site

 科学と宗教

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時代が進むにつれ、生み出され続ける科学的な理論は、時に宗教と対立します。

 

特に1859年、チャールズ・ダーウィンが提唱した進化論は、宗教(特にキリスト教、イスラム教)の根幹となる考えを否定するものでした。

 

すなわち「人間はサルから自然選択によって進化した」という考えは、「人間は神が自分に似せて特別に創られた」という考えと真っ向から対立するものだったのです。

 

当時進化論は聖職者から痛烈な非難を浴びますが、度重って見つかる証拠の数々により徐々に世界で認められていくことになります。

(現代でも進化論をめぐる議論は活発です。日本ではほとんど受け入れられている理論ですが、特にキリスト教圏のアメリカやイギリスでは反発が強く、代わりに「インテリジェント・デザイン論」を唱える人も多くいます。)

なぜキリスト教はダーウィンを非難するのか – 永井俊哉ドットコム

 

このような宗教と科学の矛盾から、19世紀を代表する哲学者フリードリヒ・ニーチェは「神は死んだ」という有名な言葉を残し、新たな価値観を持って行動することの必要性を訴えました。(お前が深淵を覗くとき、深淵もまたお前を…の人です笑)

 

これはある意味、人々の価値観が「宗教」から「人間至上主義」に変わったことを象徴する瞬間として、「ホモ・デウス」でも描かれています。

 人間至上主義

背景

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科学革命は僕らに、

①宗教が世の中の全てではない

②世の中は確実に良くなっていく

という2つの重要な考えを与えました。

 

①の考えは社会を動かす新たなイデオロギーの必要性を訴え、②の考えは「資本主義」という新たな架空概念を誕生させたのです。

 

つまり、科学革命以降の人類の成長のエンジンは「資本主義・科学・帝国」だったことになります。

 

科学が新しい発見、発明をする→人々の暮らしが良くなる→人々が世の中が良くなると期待→資本家が科学に投資する→より高度な研究、開発が行われる→(ループ)

 

上のような好循環が起こり、人類はこれまでにない発展を遂げます

 

1500年からわずか500年の間に人は月にまで到達し、人類全体として見れば人口が5倍以上に増えたのにも関わらず、人々の平均的な生活水準は比べ物にならないほど上昇しました

意味のない世界に、意味を見出せ

「神」が死に、資本主義による社会の発展の目覚ましさも関係したのでしょう。

 

人々は新しい価値観を形成していきます。

 

それが「人間至上主義」であり、今日の僕らの多くの価値観を形作っている”イデオロギー”であり、”宗教”なのです。

 

人間至上主義という宗教は、人間性を崇拝し、キリスト教とイスラム教で神が、仏教と道教で自然の摂理がそれぞれ演じた役割を、人間性が果たすものと考える。

 

人間至上主義によれば、人間は内なる経験から、自分の人生の意味だけではなく森羅万象の意味も引き出さなくてはならないという。

「意味のない世界のために意味を生み出せ」これこそ人間至上主義が私たちに与えた最も重要な戒律なのだ。

 

つまり、「人間至上主義」では、僕らの内面(意志、感性、経験など)がもっとも神聖視されるのです。

 

僕らの内面が重視されるのは、美学、倫理だけではなく、

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人間至上主義の例 参照元:「ホモ・デウス」

 

政治や経済においてもです。

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人間至上主義の例 参照元:「ホモ・デウス」

 

そしてそれは、神を信じる者でさえも同じです。

 

仮に私が神を信じていたら、そうするのは私の選択だ。

権威の本当の源泉は私自身の感情なので、神の存在を信じているといっているときにさえも、実は私は、自分自身の内なる声の方を信じているのだ。

 

このように「人間至上主義」は今の僕らの世の中を席巻しているのです。

まとめ

「ホモ・デウス」

今回の記事はいかがだったでしょうか?

 

「ホモ・デウス」は膨大な情報量だったので、自分が特に興味を持ったところをピックアップしてみました(^^)

 

ここから先の「ホモ・デウス」の展開を簡単に述べると以下のようになります。

 

「人間至上主義」は「自由主義」「社会主義」「進化論的な人間至上主義」の3宗派に分かれてWW2や冷戦で争い、最終的に自由主義が勝利した。

(自由主義≒個人主義、社会主義≒集団主義、進化論的な人間至上主義≒ファシズム)

⇒より複雑になっていく社会構造や情報に、自由主義だけが対処できたから。

 

②自由主義は科学の発展とともに隆盛してきたが、今後は科学によってそのアイデンティティを否定されるかもしれない。

例)生物は単なるアルゴリズムに過ぎない⇒意志や感性の存在が否定される

 

③自由主義の崩壊後、生まれる新たなイデオロギーが「テクノ人間至上主義」「データ教」である。

⇒一部のエリート層がテクノロジーで自らをアップデートし「神」のような存在に。(ホモ・デウスに進化)

⇒人間中心の価値観ではなく、データこそが至上の価値観。すべてのモノはインターネットにつながり、人間はその一部でしかなくなる。

 

鋭い考察が随所に見られ、知的好奇心をくすぐられる素晴らしい内容でした。

この本を読む時間はきっと充実したものになると思いますよ(^^♪

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

 
ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

 

 僕が思ったこと

この著書は、宗教や自由主義に対して挑戦的な考察をしており、人によっては反感を覚える内容かもしれません。

 

僕もまぎれもなく人間至上主義の信仰者で、意志や感性の存在を信じている人間です。

 

近い未来、進化論が宗教を否定したように、僕らの意志の存在も科学に否定される未来が来るのかもしれません。

 

人間は単なるアルゴリズム(情報処理)のマシーンで、すべての物事は決定的であろうが、非決定的(ランダム)であろうとアルゴリズムによって決まるから、人間の自由意思なんてものは存在しないと。

 

それは僕たちにとっては少し虚無的で悲しい事かもしれませんね。

 

でも今現在の科学は完全ではなく、人間が単なるアルゴリズムのマシーンだと完全に証明されたわけではありません。(だって数式化されてないもん!!)

 

もしかしたら、論理的に説明できない神聖な存在だってあるかもしれない。

 

だから未来に真実が分かるまで、僕らは信じたいものを信じればいいと思うんですよね。

 

キリストの「信じる者は救われる」って言葉もあながち間違いじゃない気がするし、意思や絆の存在を信じる人間の方が強い気がする、うん。

 

だから僕はこれからも意志や感性の存在を信じて生きていこうと思います。

 

どこかで、強い「意志」と「感性」の力を強く信じた男について書こうかな。

この男が僕らの生活スタイルを大きく変えたという事実から、僕は意志と感性のもつ力を感じたいのかもしれません(笑)

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